男子京都部

京都大愛好家一年生に向けた京都”駆け巡り”指南ブログ 

賀茂川の水源を辿るべし

「ただ、"源"を求めて上へ上へと辿っていく」という行為が好きだ。

大阪に帰って淀川を見ても、ここに流れる水は元をたどれば鴨川の水も混ざってるんだと思えると楽しいから。目に見える世界だけが全てじゃなくなる。

 

川の先、道の先の景色を知っているとその先にある景色を同時に想像できる。

川端通に立てば大原の里が見えるし、

八坂神社から西を向けば松尾大社が見えるし、

京都一周トレイルのスタート地点を見れば京都一周トレイルのゴール地点が見える。

そういうのの繰り返しで自分の中の世界が小さくなるように思う。

右見ても左見てもその先の世界が見えるから。

けどこの感覚を得るには実際に自分で道の先、川の先を見に足を運ばないといけない。

遠くへ続く線の起源を目指して実際に辿らないといけない。

この行為の繰り返しで少しずつ少しずつ京都を小さくしていきたい。

小さくして小さくして最後には飴ちゃんくらいの小ささにして、飲み込みたい。

 

この感覚を理解する方法の一つとして賀茂街道サイクリングを提案したい。

下流から見て行った時、鴨川は出町柳で二つの川に別れる。

西側が賀茂川、東側が高野川だ。

この賀茂川の源流が雲ヶ畑出合橋付近に、高野川の源流が大原(厳密にはもう少し北の途中峠)にある。

大原の里や途中峠も行ったことあるがあまり源流感を感じられないので、賀茂川の上流をおすすめする。

上賀茂神社付近の御園橋、西賀茂橋や柊野堰堤のある静かな雰囲気の地域を抜けると山道になる。京都の山道の色々なところをサイクリングしてきたがこのコースはかなり気持ちがいい。景色の変わり方も楽しいし。

そうこうして進んでいくと、雲ヶ畑に着く。この地域にあるのが「志明院」というお寺だ。ここへの到着を持ってゴールとする。

ただ、この志明院に着くまでのラスト500mくらい(二股路を左手に進んだ先,下の写真)がママチャリだとかなりきつい。最後の最後に耐えきれずに降りてしまったほど。

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志明院

 志明院の中は撮影禁止なので撮れなかったが、山奥にあることもあって市街地ではなかなかない雰囲気の作りになっている。このお寺の山号は「岩屋山」というのだが、この岩屋という言葉に似て、岩で作られた部屋のような空間があるのだ。

 

しばらく修行道のような急な階段を登ると岩穴が二つ空いている。その岩陰を岩屋としており、岩屋内には二体の石仏が安置され、花が手向けられている。

これって珍しくない?めっちゃ好きだった

司馬遼太郎が好んだ山寺で、アニメ「もののけ姫」のタイトルもこの森から生まれたといわれているらしい。

 

余談だが、この賀茂川の水源を辿るという行為、似たようなことを神様もしている。

上賀茂神社の祭神賀茂別雷神の母親であり賀茂一族の一人、玉依姫命にまつわる話だ。

玉依姫命は水源を求めて賀茂川をさかのぼり、上流にある貴船川をさらに登り、今でいう貴船神社のあるあたりに祠を立てたそう。これが貴船神社の起源で、この「きふね」という名前も玉依姫命が乗っていた黄色の船、「黄船」からついたらしい。

おもしろい!

 

賀茂川の水源を辿ったあと、賀茂大橋の上に立って左側から流れてくる賀茂川を見てみて欲しい。

この水が流れてくる源、雲ヶ畑志明院まで(脳裏に)見えるはずだ。

 

そういえば、

 

バショウカジキよりも新幹線よりもロケットよりも光よりも早いものは、人間の想像力だ

 

って小さい頃絵本で読んだのを思い出した。